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2019.03.15

相続法が改正され、順次施行されます。

相続法改正

平成30年7月6日、参議院本会議において、
「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」
及び
「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」が可決・成立しました。

どのような改正がなされ、それぞれいつから施行されるのかについて説明します。

相続法改正の概要

改正点は、大まかに以下の点です。

① 配偶者の居住権が新たに権利として認められるようになります。
② 遺産分割の制度が見直されます。
③ 自筆証書遺言の方式が緩和されます。
④ 自筆証書遺言を国が保管する制度が設けられます。
⑤ 遺言執行者の権限が明確化されます。
⑥ 遺留分制度が見直されます。
⑦ 相続の効力が見直されます。
⑧ 相続人以外の者の貢献に報いる制度が新設されます。

① 配偶者の居住権が新たに権利として認められるようになります。

 ① 被相続人の配偶者が
 ② 被相続人の財産に属する建物に
 ③ 相続開始時に居住していた場合において
 ④ 遺産分割によって配偶者居住権を取得、
   もしくは配偶者居住権を遺贈されたとき

被相続人の配偶者は、その建物の全部について無償で使用収益をする権利を
取得することができます(配偶者居住権;新民法1028条)。

また、これらの要件を充たす場合であって、
相続人間で遺産分割協議を行う場合は、
遺産分割による建物の帰属が確定した日
または相続開始から6ヶ月が経過するまでのいずれか遅い方の日までの間、
無償でその建物に居住することができます(配偶者短期居住権;新民法1037条)。

これらの制度は、2020年4月1日からスタートします。

② 遺産分割の制度が見直されます。

平成28年12月19日の最高裁判決により、
これまでは共同相続人間で相続開始と同時に当然に分割されていた
(したがって、自分の法定相続分については払い戻しを受けることができた)
預貯金債権が遺産分割の対象に含まれるとされ、遺言がある場合を除き、
遺産分割協議を経なければ銀行等の預貯金債権を引き出すことはできなくなりました。

遺産分割協議が成立するまでの預貯金を引き出せない不都合を解決するため、
一定額の預貯金の払い戻し制度(新民法909条の2)、
及び家庭裁判所の保全処分による引き出しの要件緩和(新家事事件手続法200条3項)が認められました。
遺産分割前の預貯金払い戻しで引き出せる金額は、
口座残高×法定相続分×1/3、上限は金融機関ごとに150万円とされています。

また、相続人の特別受益の算定にあたって、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が
もう一方に対して居住用建物・敷地を遺贈・贈与した場合、
持戻免除の意思表示があったものと推定されることになり(新民法903条4項)、
配偶者の生活の保護を図っています。

この制度は、2019年7月1日からスタートします。

③ 自筆証書遺言の方式が緩和されます。

自筆証書遺言は、これまですべて自書で作成する必要がありましたが、
財産目録についてのみ、パソコン・ワープロにより作成することが
認められるようになりました(新民法968条)。

この制度は2019年1月13日からスタート、つまりもう始まっています。

④ 遺言を国が保管する制度が設けられます。

自筆証書遺言を法務局で保管する制度が新しく設けられ、
遺言の紛失や失念、破損などの危険を低減させることができるようになります。
また、保管制度を利用することによって、公正証書遺言でのみ可能だった
「遺言検索」が自筆証書遺言でも可能となります。

遺言書の保管制度は、2020年7月10日からスタートします。

⑤ 遺言執行者の権限が明確化されます。

これまで相続人の代理人とされていた遺言執行者の責任が、
「遺言の内容を実現する」ことと明文化されます。
これにより、相続人と遺言執行者の対立が生じる場合や、
遺贈の履行者が誰なのか、といった実務上の問題点が解消されます。

遺言執行者の権限の明確化は、2020年7月10日からスタートします。

⑥ 遺留分制度が見直されます。

これまでは、遺留分減殺請求を行使すると、
現に遺留分の対象となった財産を持っている人との共有状態になるとされていました。
つまり紛争当事者間で対象物を共有することになるため、その解消を巡って新たな紛争が生じる事もよく見られました。
そこで、遺留分減殺請求者は、侵害者に対して侵害された遺留分の金額に
相当する金銭の支払いを請求することができる、というように考え方を改め、
遺留分減殺請求を金銭的な問題に落とし込むこととしました(新民法1046条)。

遺留分制度の見直しは、2019年7月1日からスタートします。

⑦ 相続の効力が見直されます。

相続によって法定相続分を超える権利を取得した場合、
不動産登記等の対抗要件を具備しなければ、第三者に対抗できないものとされます。
物権変動に即した相続登記をする必要性が高まったと言えます。

また、遺言執行者がいる場合に相続人が遺言の執行を妨害するような行為を行った場合、
善意の第三者には対抗できないことになります。

相続の効力の見直しは、2019年7月1日からスタートします。

⑧ 相続人以外の者の貢献に報いる制度が新設されます。

例えば被相続人の看護を相続人である長男の妻が行っていた場合、
これまでの制度では、妻は相続人でないことから、
直接的にその貢献に報いることはできませんでした。

新法は、被相続人の親族が被相続人の財産の維持・増加に一定の貢献をした場合について、
その親族を「特別寄与者」として、所定の要件のもと、「特別寄与料」を請求できることを定めました(新民法1050条)。

特別寄与者制度は、2019年7月1日からスタートします。