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2019.03.22

相続法改正ポイント④~自筆証書遺言保管制度

自筆証書遺言保管制度の創設

自筆証書遺言を法務局で保管する制度が新しく設けられ、遺言の紛失や失念、破損などの危険を低減させることができるようになります。
また、保管制度を利用することによって、公正証書遺言でのみ可能だった「遺言検索」が自筆証書遺言でも可能となります。

遺言書の保管制度は、2020年7月10日からスタートします。

自筆証書遺言保管制度の概要

これまで自筆遺言は、自分で作成し、保管しておく必要がありました。
ところが相続人が遺言の存在に気づかないとか、自宅に仕舞っておいたところ誰かが勝手に内容を改ざんしてしまったり隠してしまう、というような事態が生じることがありました。
これらに対応するため、法務局が自筆遺言証書を保管し、保管状況などを相続人に通知する制度が新設されます。

法務局に行って(遺言者の意思確認・本人確認のため、遺言者本人が行く必要があります)、この制度を申し込むと、法務局の「遺言書保管官」が、自筆遺言の原本を預かってくれます。
また同時に遺言書の内容をデータ化し、法務局に行けばいつでも閲覧可能な状態にしてくれます。

被相続人が亡くなった場合は、誰でも(相続人でなくても)、遺言書保管官に対して「自分宛ての遺言が保管されているかどうか」を確認することができます(遺言書保管事実証明書の交付請求)。
また、亡くなった人の相続人(包括受遺者を含む)は、遺言書保管官に対して、遺言書の内容を明らかにするよう請求できます(遺言書情報証明書の交付請求)。
この交付請求があったときは、そのような遺言書が存在することを、遺言者の相続人・受遺者、及び遺言執行者に通知するものとされています。
つまり、相続人や受遺者の誰かひとりでも、法務局に遺言書情報証明請求をすれば、相続人など関係者に知れ渡ることになります。
したがって、「自分だけこっそり調べて、不利ならば隠してしまおう」というようなことはできなくなります。
またこれまで自筆遺言では必要とされていた家庭裁判所の検認手続が不要になることもメリットです。

なお、遺言書保管官はあくまで保管することを業務とするもので、遺言の有効性を証明してくれるものではありません。
ですので、作成経緯を疑われない遺言書を作りたい、というご要望については、従前どおり公正証書遺言を作成することをお勧めします。