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2019.10.22

「復権令」及び「即位の礼に当たり行う特別恩赦基準」について

制度趣旨

本日、今上天皇陛下の即位礼正殿の儀が恙無く執り行われました。
令和の御代が平穏無事であることを心よりお祈り申し上げます。

さて、この慶事に当たり、恩赦が実施されます。
これは、「罪を犯した者の改善更生の意欲を高めさせ、その社会復帰を促進する」という刑事政策的な見地から実施されるものです。

恩赦の具体的内容は以下の2つです。
① 復権令
罰金刑を受け終わった者であって、かつ3年間再び処罰されていない者については、刑に処せられたため生じた資格の制限をなくす。

② 特別恩赦基準
一定の基準に該当する者について、犯情・本人の性格及び行状・犯罪後の状況・社会の感情等を個別に審査した上で「刑の執行の免除」「復権」を行う。

復権令

罰金刑を受けてその全部の執行を終わり、または執行の免除を受けた者が、
令和元年10月22日(即位礼正殿の儀の日)の前日までに3年を経過していれば、罰金刑によって喪失していたり停止されていた資格を取り戻すことができます。
例えば医師は、罰金刑に処せられていると免許を与えないことがあるとされていますが(医師法4条3項)、今回の復権令に該当すればこの規定にかかることはないことになります。

特別恩赦基準

刑罰の執行終了から3年が経過していない方の場合、令和元年10月22日の前日までに有罪の裁判が確定していれば、特別恩赦基準に該当する可能性があります。

特別恩赦基準による刑の執行の免除又は復権を受けるには、原則として、今日から令和2年1月21日までに検察官又は保護観察所の長に対して出願しなければなりません。(復権令対象者と違って自動的に復権はなされません。)

特別恩赦基準による「刑の執行の免除」は、
①基準日の前日までに刑に処せられた者であって、
②懲役、禁錮又は罰金に処せられ
③病気その他の事由により基準日までに長期にわたり刑の執行が停止され
④なお長期にわたりその執行に耐えられないと認められる者であって
⑤犯情・本人の性格及び行状・犯罪後の状況・社会の感情・刑の執行の免除を必要とする事情等を考慮して特に刑の執行の免除をすることが相当であると認められる者
について行うとされています。

特別恩赦基準による「復権」は、
①ー①罰金の刑に処せられ,基準日の前日までにその全部の執行を終わり又は執行の免除を得た者
もしくは
①ー②基準日の前日までに略式命令の送達、即決裁判の宣告又は判決の宣告を受け、令和2年1月21日までにその裁判に係る罪の全部について罰金に処せられ,基準日から令和2年1月21日までにその全部につき執行を終わり又は執行の免除を得た者
について、
②刑に処せられたことが現に社会生活を営むに当たり障害となっていると認められるものであって、犯情・本人の性格及び行状・犯罪後の状況・社会の感情等を考慮
して特に復権することが相当であると認められる者
について行うとされています。

また、この基準に当たらない者であっても、刑の執行の免除又は復権を行うことが相当であるものには、常時恩赦を行うことを考慮する、とされています(第7項)。