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2020.05.13

諦めていた養育費・賠償金を回収しませんか

民事執行法が改正されました

我が国の民事執行制度は実効性に乏しいとの批判が、つねづね行われてきました。

養育費や損害賠償を獲得する内容の判決や和解、公正証書などの「債務名義」を取得しても、債務者が支払いをしない場合、債権者は強制執行手続によって債権を回収する必要があります。

しかし、どこにどのような財産があるかについて裁判所が調査してくれるわけではなく、債権者が自分で調査をして、例えば「A銀行B支店に債務者の預金口座があるから差し押さえてほしい」といった申立をしなければなりません。

現実的には、この調査は個人情報保護の壁が高く、困難でした。
そのため、養育費などでは、一旦約束をしても履行が続けられているケースは4人に1人しかいない、とも言われています。

このような状況に対応し、強制執行の実効性を確保するため、令和2年4月1日より改正民事執行法が施行され、債権者による債務者の財産開示手続が強化されました。

財産開示手続の強化

債権者が債務者の財産を調査する方法の一つとして、財産開示手続がありました。

これは、強制執行を行ってもうまく行かなかった場合に、裁判所が債務者を呼び出して、その財産について開示させる制度です。
手続に協力しなければ30万円の過料が課せられるという仕組みでしたが、現実的には手続に協力しない債務者が多く、あまり機能していませんでした。

そこで、改正民事執行法では、この財産開示手続を改正し、実効性を強化しています。

まず、財産開示手続に出頭しなかったり、出頭してもいつわりを述べたり、黙っていたという場合は、債務者に6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金という刑事罰が課せられることになりました(新法213条1項5号6号)。
なお、財産開示手続期日には債務者本人(法人であれば代表者)が自ら出席しなければならず、弁護士や担当者を代理人として出席させることで代替することはできません。

また、仮執行宣言付判決、支払督促、強制執行認諾文言付公正証書による場合でも、金銭債権であればすべての種類の債務名義で財産開示手続の利用ができるようになりました(新法197条1項)。
つまり、離婚に際して公正証書を作って養育費について取り決めていたが、その後養育費が支払われなくなったというような場合でも、この財産開示手続を利用することができるようになりました。

申立の要件の緩和と、罰則の強化により、財産開示手続の実効性が高まることが期待されています。

第三者からの情報収集制度の創設

これに加えて、債務者の不動産・給与債権・預貯金債権等について、それぞれを管理する機関に情報開示を求める制度が新設されました。
不動産に関する情報の開示は登記所(法務局)、給与債権に関する情報は市区町村や日本年金機構など、預貯金債権は銀行や証券保管振替機関などを対象として行います。

このうち特に注目すべきは預貯金債権等の開示請求です。
他の2つは、3年以内に財産開示請求を先行して行っていなければなりませんが、預貯金債権の開示請求の場合はこの要件は求められておらず、いきなり預貯金債権の開示請求をすることが可能です。
これは、他の2つの財産に比べて預貯金債権が隠匿・散逸しやすいことを理由としています。
また、他の2つの開示請求制度と異なり、債務者に決定が送達されず、従って債務者が執行抗告をすることもできません。
このため、預貯金債権に関する情報の取得は他の2つに比べて、手続が簡易・迅速であると言えます。

なお、給与債権に関する情報開示を求めることができるのは、養育費の請求権を有するもの、もしくは人の生命身体の損害に関する損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する者に限定されています(新法206条1項)。

まとめ

強化された財産開示請求と、新設された第三者からの情報収集制度により、これまで個人情報保護の壁に阻まれて難しかった強制執行の実現性が飛躍的に上昇することが予想されます。

回収できずに諦めていた債権があれば、この制度を使って、債務者の財産状況を明らかにし、開示された情報をもとに強制執行をすることによって、債権の満足を図ることができるかもしれません。
回収を諦めて泣き寝入りされておられた方は、ぜひ一度ご相談ください。