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2019.04.02

相続法改正ポイント⑧~特別寄与者制度

例えば被相続人の看護を相続人である長男の妻が行っていた場合、
これまでの制度では、妻は相続人でないことから、直接的にその貢献に報いることはできませんでした。
新法は、被相続人の親族が被相続人の財産の維持・増加に一定の貢献をした場合について、
その親族を「特別寄与者」として、所定の要件のもと、「特別寄与料」を請求できることを定めました(新1050条)。

特別寄与者制度は、2019年7月1日からスタートします。

寄与分の制度

相続について調べられた方は「寄与分」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
寄与分とは、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人について、その分を加算した相続を認めた制度です。
現行法では、この寄与分は、相続人にしか認められていませんでした。
つまり、「義父の世話をした奥さん」は(被相続人と養子縁組などしていない限り)相続人ではないので、この寄与分の主張をすることはできません。
それどころか相続人ですらないので、この奥さんが相続によって財産を承継するには、被相続人が遺贈するとの内容の遺言を残すか、奥さんの夫(これは相続人)の相続分をその分増やす遺産分割協議を成立させるなどの工夫が必要でした。

新法はこれを改め、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務を提供して被相続人の財産を維持または増加について特別の寄与をした被相続人の親族を「特別寄与者」として、相続開始後、相続人に金銭の支払いを請求することを認めました(新1050条1項)。
特別寄与料は相続人全員と請求者との協議で定めるのが原則ですが、協議ができないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することができます(新1050条2項)。
この場合、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の金額を決定します(同3項)。

特別寄与料の注意点

特別寄与料の請求者は親族(民法725条参照)に限定されます。
ヘルパーさんや従業員等が被相続人の財産維持にいくら貢献したとしても、特別寄与料の請求はできません。

特別寄与料の額は、相続財産から遺贈の価額を控除した残額を超えることはできません(新1050条4項)。
つまり、被相続人が全財産を遺贈してしまうと、特別寄与者は特別寄与料の請求をすることはできなくなります。

特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ったときから6ヶ月を経過するか、相続開始から1年を経過すると、家裁への申し立てはできなくなります(新1050条2項)。
この期間は除斥期間と解されていますので、請求者は、この期間内に相続人全員に協議を申し出て、協議が整いそうかどうか判断し、整いそうにないと判断したら家裁に申し立てを行わなければなりません。
かなり時間的な制約が大きいですので、特別寄与料の請求を検討される場合は、できるだけ早い段階で専門職に相談するのがよいでしょう。